2013年2月22日金曜日
鳥の行方
温室がなくなる。
老朽化ということもあるが、法改正に伴い、日影規制に抵触しているとして解消を求められているためらしい。
( いつも何かが無くなる時は突然やってくる。 )
中の鳥たちは、一時飼育する仮説施設に移動するという。
高さ15.4mの中で、思う存分伸びきった植物たちはどうなるのだろう。
ムッとする室内。眼鏡が白く曇る。何も見えない。
やっとぼんやり見えだす景色。
ゾッとするほど高い天井?____あの頃はそう思っていた。
スケールが違う植物。
外と内の差。
断絶。
異世界に、夢の中にからめとられたような。
ゆるり歩く。フワフワと光。
突然大きな鳥が目の前に現れる。
大きな声。
ジャングルは常にカサカサ音をたててる。
頬の赤い亀が、陸に上がろうと苦戦している。
水草_草_植物。幼い頃、お化け屋敷のように恐かった場所。
汗をかくくらい暖かな温室から出ると外は寒い。冬だ。
鳥たちはどんな場所に行くんだろう。
2013年2月14日木曜日
なかったことに
*
「なかったことにしてやる!」と叫びながら私の顔面をぶん殴ってきた又造は、
タイムマシーンを発明して私を殴る前の自分に会いに行き、明日私を殴らない
よう自分を説得したという。
こんなわけで私は又造に殴られた事は一回もないのだ‥
*
いまだかつてなかったことがあったなんて!とショックのあまり湖の上を難波走り
して遠くの方に行った私の伯父。
して遠くの方に行った私の伯父。
*
「君にとって『もうしない』とは『まだしていない』という意味だと解釈していいんで
すか?」と嫌味っぽく言ってきた肘男部長に、オレはとうとう耐えかねて「もうしま
せん!」と言いながら鉄拳を食らわせた。
*
「じゃんけんで負けたほうが死ぬ事にしようぜ」
と言ってかつてないほどの本気度で両手を組み合わせて逆さに向け、指の間から
何かを見ようとする淳一だった。
*
天才タイムキーパーとしてテレビ局からひっぱりだこのタツヨシは、田原総一郎と
朝まで生テレビで死闘を繰り広げていた。CMを自分のタイミングで入れたい田原
と、自らが決めた精緻きわまるタイムキーピングの妙技を見せたいタツヨシとの、
場外乱闘だ。