2013年5月13日月曜日

確かに


*
「確かにこれは貫通している」
そう言って感心して見せたのは穴あけパンチで穴を開け始めて早や十六年のパンチ加藤だった。
彼は毎日毎日自分で作ったパンチで穴を開け続けているのだ。
「一体どんな穴開けパンチを使えばこんなに見事に穴が開けられるのか‥」
と言って彼は指を入れて確認した。
穴を開けられたものは全て、穴あけパンチで開けたものだと思い込んでいるのだ。


*
「いる、いないで言ったら、いるの方がいいような気がする」
「私はいる、いないで言ったら、いないの方がいい気がします」
「どうしてそう思うんだい?」
「だって、いない方がせいせいするじゃないですか」
「なるほど、つまり君はせいせいしたいということだね」
「そうでもないわ。ただ、いるよりいない方がせいせいしやすいんじゃないかしら」
「なるほど。確かに『ホント、いるとせいせいするわ~』とは誰も言わないね」
「ええ。いてせいせいすることはできないけど、いなくてせいせいすることはできる。人間って不思議ね」
「まったくだ。それは『いてもいなくても一緒』という論理にとっての例外は常にありえる、ということでもあるね」
「そうね。ちなみに私は『いてもいなくても一緒』という論理がいなくなったらせいせいするわ」
「それは僕もせいせいするかもしれないな」
「それで、あなたは何でいる方がいいと思うんですか?」
「それはやっぱり、いる方がはかどるからだよ」
「確かにいないよりはいた方がはかどるかもしれない。だけど、いない方がはかどる場合もあるんじゃないかしら」
「いる時のはかどりといない時のはかどりはどう違うのか‥それが問題だ」
「少なくとも、いてはかどったとしても、いてせいせいすることはできないでしょう」
「なるほど、それはそうかもしれない。そこが君と違うところだね」


*
「本当だって!本当に嗅いだんだって!あいつは見たっていってるけどそれは絶対に嘘で、俺はたしかに嗅いだんだ!」




2013年5月8日水曜日

2013年4月24日水曜日

だーれだ


2013年4月21日日曜日

あのころ手に貼られた緑色。



緑だったアロエが赤くなってしまった。
寒さのせいらしい。

「ゴールデンウィーク辺りには緑色になると思うので心配しないで」

とのこと。

触ってみる。ぐにゃっりとしている。
これは水を少しばかりやってしまったせいらしい。
育てるのが簡単な植物だということだけど、心配性には案外難しいものなのかもしれない。
水分を摂らないでいられるなんて__話には聞いていたけれど。


祖母はアロエを刻んで食べていたらしい。
クレオパトラも健康と美容のためにアロエを使っていたというけれど、やっぱり刻んで食べたんだろうか。

火傷をしたときにアロエを貼られた記憶。
ひんやりとして、にゅるっとして、ぺちゃっとしている。
なんとなく臭かった気がするけどどんなにおいだったか忘れてしまった。
アロエが手に貼られている。緑色のアロエ。


アロエがいつ日本にやってきたかについては定説がないみたいだ。
鎌倉時代に伝えられたという説。室町時代以降に宣教師によって伝えられたという説。
聖書にもアロエは登場するらしい。
園芸植物として多くの種類が伝えられるようになったのは明治から昭和にかけての頃。
薬用植物として広く普及するのは戦後になってから。
そういば、祖母は明治生まれの人だった。


赤くなったアロエは、本当に緑色にもどるのだろうか。
あのころ手に貼られた緑色。

2013年4月9日火曜日

2013年2月25日月曜日

トントン



2013年2月22日金曜日

鳥の行方

 


温室がなくなる。
老朽化ということもあるが、法改正に伴い、日影規制に抵触しているとして解消を求められているためらしい。
( いつも何かが無くなる時は突然やってくる。 )
中の鳥たちは、一時飼育する仮説施設に移動するという。
高さ15.4mの中で、思う存分伸びきった植物たちはどうなるのだろう。


ムッとする室内。眼鏡が白く曇る。何も見えない。
やっとぼんやり見えだす景色。
ゾッとするほど高い天井?____あの頃はそう思っていた。
スケールが違う植物。

外と内の差。
断絶。

異世界に、夢の中にからめとられたような。
ゆるり歩く。フワフワと光。
突然大きな鳥が目の前に現れる。
大きな声。
ジャングルは常にカサカサ音をたててる。

頬の赤い亀が、陸に上がろうと苦戦している。
水草_草_植物。幼い頃、お化け屋敷のように恐かった場所。


汗をかくくらい暖かな温室から出ると外は寒い。冬だ。

鳥たちはどんな場所に行くんだろう。