2013年9月12日木曜日

シェイクスピアとピカソ



以前、シェイクスピアに出会ったことがある。私はピカソだった。

彼とは馬が合ったのか長いこと一緒にいた。
1564年生まれの彼と、1881年生まれの私が出会ったのは全く奇跡的なことだと思う。

シェイクスピアはよく私の文章をチェックしてくれた。書くことを生業としてきた彼だからそんなことはお手の物だった。
私の取っ散らかった文章をきれいに整頓していくシェイクスピア。

私たちは長い間上手くやってきたつもりだったけれど、やっぱり317年の時間は埋められなかった。
ある日を境に私たちは会うことを止めた。
あんなにも毎日一緒にいたのだから偶然町で出会ってもいいものだけれど、彼とはあれ以来顔を合わせたことがない。
また数百年後に出会うかもしれないし、明日ひょっこり出くわすかもしれないけれど、その時がいつ来るのか、それとも来ないのか私には分からない。

時間は突然パタッと止まって、また違うところで動き出しているのかもしれない。私の知らないところで。

時間と時間が交差することは気まぐれなものなのだ。
きっと。